モルについて
モル(mol)を使った問題を苦手とする人は一般的に多いので覚えている範囲で解説しようと思う。
①モルとは何か
まず、原子や分子というのはとても小さくその1つ1つはとても見えるものではない。
そのため、肉眼で見えるような大きさの物質はとてつもなく大きな数の原子や分子から出来ていて、その大きな数をそのまま扱うのは色々と(計算などで?)不都合だ。
そこで、ある程度の数をひとまとまりにしよう ということで考えられたのが物質量でその単位がmol(モル)である。
具体的には「原子(または分子)が6.0×1023個ある」=「その原子(または分子)は1molある」で、言ってみればモルとはある個数をひとまとまりにした呼び方のことである。
例を挙げてみると、
C原子が1molある
→C原子が6.0×1023個ある
酸素が1molある
→酸素分子(つまりO_2をひとまとまりとしたもの)が6.0×1023個ある
→O原子が12×1023個ある
→O原子が2molある
ということである。
ちなみに、molというのは分子を表す英語moleculeから来てる。分子はいくつかの原子をひとまとまりにしたものだからmolの命名には納得いくと思う。
②モルと質量の関係
モルは原子や分子の個数(のひとまとまり)のことだから、その数が増えれば当然質量が増える。
では一体どのような関係があるのか勿体ぶらずにいうと
(原子1molの質量)=(原子量)g
(分子1molの質量)=(分子量)g である。
ここで、なんで1molの質量がこうなるの?と思いたくなるかもしれないが、実はこれは当然のことなのである。
なぜかというと、もともと原子量というのは1molの炭素原子Cの質量を原子量12と定め、それを基準に定められているものだからだ。
例えば、炭素(C)2molの質量は12×2=24g、酸素(O_2)3molの質量は32×3=96gである。
また、逆に考えると、質量が(原子量)gの原子は1molで質量が(分子量)gの分子は1molということになる。
例えば、
4gの水素(H_2)は水素分子の分子量が2だから4÷2=2mol
12gの炭素(C)は炭素の原子量が12だから1molである。
③モルの関わる計算問題
①と②の例の中でそれぞれmolと個数、molと質量の関係は具体的に見てきた。だから、問題文にmolが直接あるものはゆっくりやれば大丈夫なはずである。
しかし、テストの問題では個数と質量の関係が問われていて一見molなんて関係ないじゃんと思うようなものが出てくる。
「Fe原子1個の質量は何gか」とか「炭素3.0g中の炭素原子は何個か」とかそういうやつである。
化学初心者ならどうすればいいかわからず放棄してしまいそうな雰囲気である。
こういうものはどうすればいいか?
答えは「molを仲介役にして計算する」だ。
なぜmolを仲介するのか感覚的に分かってもらうために、今思いついた例を挙げてみようと思う。
あなたに仲良くなりたい異性がいたとしよう。しかし、その異性とは直接的な関わり合いはない。どうすればいいか?頑張ってアタックするのも一つの手ではあるが、大きいリスクを犯さない手段として、共通の友人を通じて、仲を取り持ってもらうというのがある。
こんな稚拙な例が理解の助けになるのかはわからないが、この仲介役の共通の友人がいわばmolである。
molの話に戻ろう。個数から質量を知りたいときは個数→mol→質量というふうに、質量から個数を知りたいときは質量→mol→個数というふうに、molを仲介し、2段階で計算するのである。
最後に例題で確認してみよう。
(1)Fe原子1個の質量は何gか?
Fe原子1個が何molなのかまず求める。
Fe原子6.0×1023個で1molなのだから、Fe原子1個は1molの6.0×1023分の1で
それを質量に直すと、Fe原子1molが56gだから、
(2)炭素3.0g中の炭素原子は何個か?
炭素原子の原子量は12だから、炭素12gで1mol
つまり、炭素3.0gは
それを個数に直すと、炭素原子1mol=炭素原子6.0×1023個だから、
個
④最後に。。。
2時間くらいかけて書きましたがどうでしたでしょうか?お役に立てたでしょうか?
ちなみに、化学は専攻ではないのと習ってから5年経ってるので(細かい所で)誤りなどあるかもしれません。何かおかしい点などあったら教えてください。
追記(2016/02/29) この記事をテキスト読み上げしただけのクソみたいな動画はこちら↓