【数学】相加平均・相乗平均
以下のツイートの解説
ある商品の売上の前月比伸び率が
— 冷 (@0_A_M_) 2019年8月22日
4月:-5%
5月:15%
6月:25%
7月:6%
8月:-1%
だったとすると、3月~8月の5ヵ月間の平均伸び率は何%になるか?(毎月の伸び率をどの一定値にすると同じ結果になるか)
に対して伸び率を単純に平均(→8%)すると厳密には正しくなくて(→実際は約7.46%)、近似になる。
今の場合、単純に平均すると実際より高く出てしまったが、他の商品の場合にも単純に平均して平均伸び率を求めたとすると、その値は実際の平均伸び率より高いだろうか? #数学 #問題
— 冷 (@0_A_M_) 2019年8月22日
伸び率を単純に平均するというのは相加平均
— 冷 (@0_A_M_) 2019年8月23日
一方、実際の平均伸び率は1ヶ月あたり何倍になるかを表すものだから、各月の伸び率の相乗平均
ということで、要は相加平均と相乗平均の関係
相加平均の方が大きいので、答えは「高い」(※やや表現が不適切で大小にすべきだった)
$n$ 月の売上を $a(n)$ 、前月比伸び率を $k(n)$ %とすると、
$$\frac{a(n)-a(n-1)}{a(n-1)}=\frac{k(n)}{100}$$
となる。これを変形すると、
$$a(n)=(1+\frac{k(n)}{100})a(n-1)$$
だから、
$$a(8)=(1+\frac{k(4)}{100})(1+\frac{k(5)}{100})(1+\frac{k(6)}{100})(1+\frac{k(7)}{100})(1+\frac{k(8)}{100})a(3)\ldots(1)$$
一方、平均伸び率を $k$ %とすると、
$$\frac{a(n)-a(n-1)}{a(n-1)}=\frac{k}{100}$$
となる。これを変形すると、
$$a(n)=(1+\frac{k}{100})a(n-1)$$
だから、
$$a(8)=(1+\frac{k}{100})^5a(3)\ldots(2)$$
となり、(1)(2)から、
$$(1+\frac{k}{100})^5a(3)=(1+\frac{k(4)}{100})(1+\frac{k(5)}{100})(1+\frac{k(6)}{100})(1+\frac{k(7)}{100})(1+\frac{k(8)}{100})a(3)$$
よって*1、
$$1+\frac{k}{100}=\sqrt[5]{(1+\frac{k(4)}{100})(1+\frac{k(5)}{100})(1+\frac{k(6)}{100})(1+\frac{k(7)}{100})(1+\frac{k(8)}{100})}$$
相乗平均≤相加平均*2より、
$$\le\frac{(1+\frac{k(4)}{100})+(1+\frac{k(5)}{100})+(1+\frac{k(6)}{100})+(1+\frac{k(7)}{100})+(1+\frac{k(8)}{100})}{5}$$
$$=1+\frac{\frac{k(4)}{100}+\frac{k(5)}{100}+\frac{k(6)}{100}+\frac{k(7)}{100}+\frac{k(8)}{100}}{5}$$
したがって、
$$\frac{k}{100}\le\frac{\frac{k(4)}{100}+\frac{k(5)}{100}+\frac{k(6)}{100}+\frac{k(7)}{100}+\frac{k(8)}{100}}{5}$$
となり、両辺に $100$ を掛ければ
$$k\le\frac{k(4)+k(5)+k(6)+k(7)+k(8)}{5}$$
つまり、単純に伸び率を平均して求めた方が大きい。